Q&A:DV問題


Q:DVとは、何のことですか?

 DV(ドメスティック・バイオレンス)とは、夫や恋人等の親密な関係にあるもしくはあった男性から女性に対して(or 女性から男性に対して)ふるわれる暴力のことであり、典型的には、夫が妻に対して殴る蹴るなどの暴行を加える場合をいいます。


Q:DVの具体例を教えて下さい。

 身体に対する暴力のみならず、それに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動も含まれます。具体的には、以下のようなものがあります。

◦殴る蹴る、物を投げるなど身体に傷を負わせる肉体的暴力

◦「殺してやる」、「腕をへし折ってやる」と言った脅迫

◦性交を強要されるなど性的暴力

◦「バカ野郎」、「お前は何をやっても駄目だ」など人格を否定する暴言を吐く、話しかけても無視をして口を聞いてくれない等の心理的、精神的な暴力


Q:配偶者からDVを理由として離婚は認められますか?

 日常的な暴行・虐待や酒乱などに起因する暴行は、民法770条1項5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたり、離婚が認められます。裁判の判決でも配偶者の暴力に対しては厳しい判決が出ています。

  もっとも、配偶者がDVの事実を否定することもあるので、医師の診断書や暴行状況の録音、親族や友人の証言など証拠を用意する必要があるでしょう。


Q:DVを受けている証拠はどのような物を残せばよいのでしょうか?

◦暴力によるアザや傷の写真

◦医師の診断書(精神的なストレス・PTSDの治療の場合は、心療内科・精神科)

◦DVセンターや警察・友人への相談記録

◦カウンセリングの受診記録

◦精神的虐待となる言葉を記したメモや日記

◦暴行虐待の録音テープやビデオテープ


Q:配偶者から言葉の暴力を受けている場合でも、離婚できますか?

 離婚の裁判においては、無視や暴言を吐くといった精神的暴力だけでは「婚姻を継続し難い重大な事由」があるとまではいえません。しかし、裁判所は、離婚が認められるのかどうかの判断にあたり、長年の暴言により婚姻関係が破綻するものがあると認定すれば「婚姻を継続し難い重大な事由」にあたると考えています。ですから、配偶者が相手方を長年に渡り無視している、毎日のように暴言を吐く、異常なくらいに束縛をする等により精神的圧迫を受けているような場合、「これはDVにあたらないから離婚は無理では」と考える必要はありません。


Q:配偶者の暴力から逃れるにはどのようにしたらよいですか?

「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(いわゆるDV防止法)により、配偶者からの暴力を防ぎ、被害者を一時的に保護したり、被害者の申立てにより加害者に対して家から退去するように裁判所から命令を出してもらうことのできます。


Q:DV保護法は、どのようなに守ってもらえるのでしょうか?

 裁判所に申立てをし、①接近禁止命令、②退去命令、③電話等禁止命令を出してもらい、生命・身体への危害防止を図ることが可能です。


Q:DV保護法の接見禁止命令を教えて下さい。

 接見禁止命令とは、被害者の避難先や住居、勤務先、通常被害者が居る場所またはその付近において、被害者につきまとい、徘徊することを禁止する命令です。

 期間は原則として、6ヶ月間となります。


Q:DV保護法の接見禁止命令は、子どもや親族にも当てはまるのでしょうか?

 子への接見禁止命令と親族等の接見禁止命令の申立もできます。

 子への接見禁止命令とは、配偶者と同居している子の身辺につきまとい、住居や学校等その通常いる場所の付近を徘徊することを禁止する命令です。加害者が子に接近することにより、被害者が加害者に会わざるを得なくなる状況を防ぐことが法の趣旨で、期間は原則として6ヶ月間となります。

 親族等への接近禁止命令とは、その親族等の身辺につきまとい、住居(その親族等が加害者と同居する住居等は除く。)や勤務先等の付近を徘徊することを禁止する命令です。加害者が、被害者と密接な関係にある親族等の住居に押しかけて暴れるなど被害者が加害者に会わざるを得なくなる状況を防ぐことが法の趣旨で、期間は原則として6ヶ月間です。


Q:DV保護法の退去命令を教えて下さい。

 退去命令とは、配偶者を被害者と同居の住居から退去させ、当該住居の付近を徘徊することを禁止する命令です。期間は原則として、2ヶ月間です。その間に、被害者は荷物をまとめて引越しをすることを考えて下さい。


Q:DV保護法の電話禁止命令を教えて下さい。

 電話等禁止命令とは、加害者が被害者に対する面会の要求、深夜の電話やファックス、メールなど一定の行為を禁止する命令です。期間は原則として6ヶ月間となります。


Q:DV保護命令に違反したら罰則はあるのですか?

 DV保護命令に違反すると、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます(DV防止法29条)。


Q:配偶者以外は、DV保護法で保護されないのでしょうか?

 婚姻の届出をしていない、いわゆる「事実婚」も含まれます。ただし、単なる恋人関係は保護の対象外です。

 また、元配偶者 婚姻中に配偶者からの暴力を受け、さらに離婚後も引き続き暴力を受けるおそれがある場合には、離婚後も保護の対象となる。

 さらに、被害者は、女性に限られず、男性が被害者となる場合もあります。保護の対象は、男女を問いません。


Q:DV保護法による命令は、どこに申立をするのでしょうか?

 警察か配偶者暴力相談センターに相談した上で、管轄の地方裁判所に提出します。その際、戸籍謄本・住民票・医師の診断書や怪我の写真などを添える必要があります。


Q:命令は、どのくらいの期間で出されるものでしょうか?

 DV防止法の保護命令の申立をした場合、通常、審理に2週間程度で、事案により長短が違います。ただ、 裁判となると数ヶ月もかかると思われますが、保護命令事件の場合、暴力から被害者を守らなければならない緊急性を要することも多いため、短期間で保護命令が出るようになっております。


Q:DV保護法は、言葉の暴力も保護の対象となるのでしょうか?

 精神的暴力・性的暴力も身体に対する暴力と同様に許されないものであり、改正で「配偶者からの暴力」は、身体に対する暴力のほか、精神的暴力・性的暴力も含むと定義されました。

 もっとも、「殺してやる」等の言動を吐くなど「生命」・「身体」に対する脅迫が対象とされますので、単に無視するだけや「バカ野郎」など暴言を吐くだけでは対象になりません。